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留袖は、昔、必ず結婚する時に荷物の一つとして実家から持たされました。
この私も、もちろん持たされました。この手の着物には、紋が付きます。
いわゆる家紋です。
5個の紋です。
私の家は、橘が家紋ですので、当然この家紋が付きます。私は、当初、婚礼の時に持って行く着物の紋は、婚家の家紋だと思っていましたが、実家の紋を付けることを知りました。
それを知ったと時は、なんだかとても不思議な気がしました。
名前が変わるのだから、婚家の紋でいいような気がしますが・・・・・。母曰く、実家からきちんと婚礼の用意をしてきましたと、いうお披露目だそうです。
婚家の家紋を付けると、親がなんの用意もしなかったと思われてはまずいということらしいです。見栄ですね。
ずいぶん前は、女の子が生まれると、その時から婚礼の支度を始めると言われています。
植樹する土地柄もあります。結婚してすぐですが、婚家から留袖が送られてきました。
加賀友禅でした。
相手の実家が、加賀の近くですからね。
私がもっていったものは、京友禅です。
2枚もこの種のものは、いりません。まるで実家と婚家の対決のようでした。
母は、相当気分を壊していました。
京友禅は、私の年齢にあわして派手目でしたが、加賀友禅の方は、まだまだ着る年齢には達しておりません。
どちらかいうと、加賀友禅の織物は、おとなしい色遣いが多いような気がしますが、京友禅は、華やかな感じだと思っています。結婚して1年ぐらいして、義弟が結婚することになりました。
時期は12月です。
着物を、着るにはベストシーズンです。さぁー、困りました。
どちらの留袖を着ればいいのか?
実家の母は、当然、自分が持たせた物を着ると思っていますし、着てもらわなければ自分の恥だと思っています。
家紋を違うものを着る事は、許されない感じでした。
結果、実家で仕立てた物を着ることにしました。当日、義父が、“あれ、気ないの?”なんて、訪ねてきましたので、私は、“高価な着物なので、また今度着ます。”なんて、言い訳しておりました。
全く、なんでこんなことで気を使わなければならないかと、思った記憶があります。結婚式が、夏であれば良かったのに!!
結婚してずいぶん経ちますが、あの2枚の留袖は、あの時にたった1度だけ着用したきりです。
私の兄の時は、6月でしたのでドレスを着ました。
こう考えると、この着物は兄弟姉妹が多ければ持っている甲斐がありますが、親族が少ない家庭では、宝の持ち腐れです。最近は、式場でもたくさんの種類のレンタル品がありますので、借りるのが一番経済的なようです。
着物って、持っていてもいいけど、持っていなくてもいいもの…。
保管、管理も結構気を使いますよね。
カビが生えないように風を通したりとか…。
着る機会が多いライフスタイルの人は、持っていた方がいいにきまってますが、節目節目でしか着ないことが多いなら、行事の度にレンタルした方が、この前と同じ着物だとか思われる心配もないし、今流行りものにも挑戦できるのでいいのではないでしょうか。